AIをどれくらい使うかで価値が全く変わってくる
友人のPCの買い物に付き合いで電気量販店をうろうろしていたのですが、PC売り場のあちらこちらに「Copilot+ PC」という言葉が並び、各社かなり推していました。
以前は自作PCを作り毎回部品を取り換えて使ったりしていたのでPC自体にある程度興味があり、ものすごい勢いで推していたので、調べてみました。
少し前にAIPCという謎ジャンルが生まれたのは知っていましたが、それの2世代目という位置づけです。
AIPCの場合、明確にスペックが規定されていたわけではなく、ある程度高スペックですよ的な感じだったのでしっかりとAIを動かすことを保証してはいなかったようですが、今回はwindowsPCのスペックの基準を定め、それ以上のスペックだと「Copilot+ PC」と名乗っていいということらしいです。
Copilotについて
Microsoft社がWindows11に組み込むために開発した生成AIです。
Microsoftは、ChatGPTを開発するOpenAIに大規模な投資を行っており、パートナーシップも締結しているので、OpenAIが開発した大規模言語モデル「GPT-3.5/4」をベースにしています。
ChatGPTとの違いとしては、バージョンによって参考にする回答の日にちを区切っているのに対して、CopilotはBingと連動して、現在進行形の最新情報を出力できることです。
個人的には、お前を消す方法でおなじみのイルカのカイル君の超絶進化版というイメージです。
ただ、Windows 11へCopilotを統合する必要があったのですが、2024年6月末に公開されたWindows11のアップデートにて、Windows 11へのCopilot統合が解除され、単なるアプリとして動作するようになるなど、大幅な機能後退になりました。
Copilot+ PCについて
ある一定の条件を満たし、Microsoftの認証を受けるとCopilot+PCと名乗れるようになり、そのPCに限定AI(Copilot+)の機能を詰め込んだPCのこと。
MicrosoftのAIが内蔵されており、しっかりAIが動くレベルのある程度高いスペックをもつPC
Copilot自体はアプリ化されてWindows11への統合が解除されましたが、このPCにはCopilot+搭載されていて、それがしっかり動くように保障しますといったノートPCといった感じです。
・認証なしPC(大部分のPC) win11とCopilot
・認証ありPC(Copilot+PC) win11とその中にCopilot+
条件満たして認証されれば、限定AI付属のOSが使えるというイメージでしょうか。
高性能グラボ搭載自作PCでも全く問題なく動きそうですが、Copilot+がオプション等でインストールできるようになるかよくわからないところです。
Copilot+ PCの基準について
Copilot+ PCと名乗れるPCは以下の基準を満たす必要があります。・40TOPS(Tera Operations Per Second)以上のNPUを搭載したSoC
・メインメモリーは16GB(DDR5またはLPDDR5)以上
・ストレージは256GB以上のSSD
昔からの自作ユーザーとしては、CPUは、PC用のインテル・AMD、スマホ用のクアルコムと完全にすみ分けられていたように思っていたのですが、小型化が進みいよいよ三つ巴になったのかと驚きました。
メモリーはスペックに大きく関わるのでこういった規定があるのはわかるのですが、ストレージは速度等の規定ではなく、容量に対してどうしてこんな規定があるんだ?という疑問はあります。
TOPSについて
TOPSはシステムが1秒間に何兆回の演算を実行できるかを示す指標。従来はGPUの性能として基本的に「FLOPS」(FLoating-point Operations Per Second)という単位がよく使われていてその大きさで性能を図っていたのですが、急にTOPS(Tera Operations per Second)という単位がでてきました。
以前の指標に加え、AIの機械学習(Machine Learning: ML)では整数演算を行うことが多く、整数演算の能力を反映した指標が求められるようになり、新しく単位が作られたようです。
NPUについて
「Neural Processing unit(ニューラル プロセッシング・ユニット)」の略称で、AIを高速処理するために設計されたプロセッサで、AIプロセッサとも呼ばれています。・高速な演算処理能力: NPUは、大規模な行列演算やテンソル演算を効率的に処理する能力があります。これにより、深層学習モデルの学習と推論が迅速に行われます。
・省電力設計: AIタスクにおいては、高い演算能力だけでなく、省電力性も重要です。NPUは、効率的なエネルギー利用を実現する設計がなされています。
・専用アーキテクチャ: CPUやGPUとは異なるアーキテクチャを持ち、ニューラルネットワークの特有の計算に最適化されています。これにより、より高速で効率的な処理が可能です。
正直、CPUとGPUしか知らず、AIに特化したNPUという存在を知りませんでした。
ただ、AI処理をする場合、いまでも必要スペックに例えばGTX1050以上といった書かれ方をしており、必要スペックの項目にNPUという基準が書かれていないので、外付けGPUを付けたものであればある程度は補えてしまえるのが現状のようです。
将来的には CAD系特化のQuadroシリーズのようにAI特化のグラフィックボードのようなものが出てくるのかもしれませんが、CAD系もそうですがAIもそれ自体にどれくらいの処理が必要なのかいまいちわかず、CAD系でさえ時間は多少かかっても高性能のGPUで処理できるところをみると、今のところ普通のグラボ買っておけば問題なさそうです。
特徴
Recall機能など色々便利な機能があるようなのですが、実際使ってみてないのでなんともいえないのでおいておいて、現状でかなり大きなものとして、
・ローカル環境でAI処理がPC本体だけで直接できるPC
というのがあります。
例えば画像生成を行う場合、現状基本的にはAIの処理はインターネットを経由してサーバーで処理を行うというもので、そこに無料だけど回数制限をかけたりしてそれ以上使いたければ月額いくらでというようなモデルがほとんどです。
Copilot+ PCは、PC単体のオフラインでも動かすことができるので、例えば画像生成をする際いいものができるまでひたすら生成をするということが可能らしいです。
Microsoftとしてもサーバー経由だとコストがかかりすぎるためほぼメリットがなく、ローカル処理で完結するものにシフトしていく方向だと思います。
感想
Copilot自体はアプリなりブラウザ上で動くのでそれを使うこと自体には何のPCでも少し時間がかかる程度でさほど問題ないように思えますが、「オフライン状態のPC単体でもAIがしっかり動くノートPC」というブランディングのようです。
省電力かつAIがしっかり動く単体のCPU(+NPU)のノートPCというだけですが、デメリットとして、
・値段が25万~30万とかなり高い
・現状クアルコムのSnapdragon X Eliteしかない
AIPCの時もNPU入りのCPUを出していたAMDやインテルでもこのスペックを超えるものは確実にでてくるので、アプリや互換性、速度を考えると正直今買う必要があるとは思えません。
またこれくらいの値段のものとなると、消費電力や大きさは違うにしろ、GPU付のゲーミングノートとそこまで変わらず、またGPUが付いていればAIの処理は現状問題なくできるので、AIも使う場合にしても、そちらを買った方が動画編集等色々できることが多く感じます。
こちらのライフスタイルとして、外でそこまで長時間PCを使うこともなく、使うとしても今の時代ならコンセントを使える環境はいくらでもあるので、これだけノートPCの値段が下がった今、こういった小さいかつある程度高性能のノートPCにこれだけお金を払うのはなかなか厳しいです。
・省電力 かつ 薄くて軽くある程度のスペックのPCがほしい
・最新のものを触りたい
・AIをかなり活用する(したい)
という人にはお勧めのPCだと思います。
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